2012年3月9日金曜日

ビタミンAはレモンなど酸性のものと食べ合わせても大丈夫なものですか?

ビタミンAはレモンなど酸性のものと食べ合わせても大丈夫なものですか?

専門家の方にお伺いします。

病気をきっかけに生野菜や果物のジュースを摂るように努めていますが、最近買ったジューサーのパンフレットに「ビタミンAは酸に弱い」という一文を見つけました。

ビタミンを壊す酵素アスコルビナーゼ等を働きを抑えるため、生ジュースにはたいていレモンも一緒に絞って飲んでいるのですが、レモンや柑橘類などの酸でビタミンAが壊れてしまうことはありますか?

食べ(飲み)合わせについてどう注意すべきかご指南ください。







野菜や果物の生ジュースのビタミンAというのはカロテンやクリプトキサンチンのことだと思うのですが、それらはレモンやミカンなどの柑橘類にも壊れることなく含まれていますよ。





あと、アスコルビナーゼ(正式にはアスコルビン酸酸化酵素)はビタミンCを破壊する酵素という説が色々なところで言われていますが、これは間違いです。



「野菜のビタミンとミネラル」編著:辻村卓(女子栄養大学教授)、著:青木和彦(独立行政法人農業技術研究機構・東北農業研究センター)、箸:佐藤達夫(食生活ジャーナリスト)によると

女子栄養大学で学生・大学院生らと行った実験で、「大根とにんじんをすりおろしたものを60分経過後にビタミンCの残存率を調べたところ、91%もありほとんど減少していなかった」という結果が出ています。



この実験でのビタミンCとは、還元型と酸化型のビタミンCを合計した総ビタミンCのことです。



ビタミンCには還元型と酸化型の2つの型があり、この実験で総ビタミンC中に占める酸化型ビタミンCの割合が実験スタート時には18%であったものが、15分後には73%、60分後には81%に増加していました。



これはアスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)の働きなどにより、還元型ビタミンCの酸化が進み、酸化型ビタミンCが増加したものと考えられ、

すなわち、総ビタミンC量がほとんど変わらず酸化型が増え、還元型が減少したことになります。



よって、もみじおろしのビタミンCは還元型から酸化型に変化しただけということになります。



アスコルビナーゼ伝説は40~50年も前のもので、科学的根拠のないまま引用、孫引きされ、一般向けの参考書に残り、インターネットなどの普及したことなどから広まったものと考えられます。





ちなみに還元型と酸化型の効力の違いについても、同書にて

1970年代に女子栄養大学で医師、看護士、栄養士が参加したビタミンC研究チームによって行われた、被験者の男女20名を2つのグループにわけ、Aグループには還元型ビタミンC、Bグループには酸化型ビタミンCを同量、口径投与した後、時間経過とともに各人の尿中及び、血液中のビタミンCを測定したところ、どちらのグループも人体内ではほとんどが還元型として存在していることから、

還元型と酸化型ビタミンCの効力は同等であると結論付けられました。



1986年にも同じような人体実験を実施したところ、やはり同様の結果でした。



それらを参考に日本ビタミン学会ビタミンC研究委員会は、科学技術庁資源調査会の問い合わせにたいして、

「還元型ビタミンCと酸化型ビタミンCの効力は同等である」という見解を報告し、

1982年公表の「四訂日本食品標準成分表」から現在まで還元型と酸化型ビタミンCを合計した

総量をビタミンC量として示されています。



ですから、わざわざレモンなどでアスコルビン酸酸化酵素(アスコルビナーゼ)の活性を抑える意味はないのです。



ちなみに、りんごの果汁は酸素に触れると、ポリフェノール酸化酵素によって茶色く変色しますが、これもポリフェノールの効力には影響しませんし、ビタミンC粉末を少し混ぜてやると酸化ポリフェノールは還元されて元の綺麗な色に戻ります。



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