2012年3月28日水曜日

βカロチンはビタミンAが2つくっついた構造らしいのですが、酵素で2つに分解されて...

βカロチンはビタミンAが2つくっついた構造らしいのですが、酵素で2つに分解されて、1つのビタミンAしか出来ないそうです。

何故2つ出来ないんですか





(別カテでも同じ質問をしましたがこちらでも御願いします。)

βカロチンのビタミンAとしての体への吸収はある本によればビタミンAの1/3、また別の本によると1/12となっています。どちらが正しいのでしょう?

1/12になると説明している本はまずβカロチンは1/2しかビタミンAにならない、そして腸管からの吸収はビタミンAの1/6しかならない、あわせる1/12になると説明してあります。

しかし、βカロチンが1/2しかビタミンAにならないというのは、βカロチン中の2つのビタミンAのうち一つしかビタミンAとして働けないという意味だと思うのですが、これではβカロチン1つがビタミンAになるのであり、βカロチンがビタミンAと比べて1/2しかビタミンAとして体に吸収されないとは言えないと思うのです。

そしてβカロチンが2つに分かれて1つのビタミンAが出来たとしても、食べたときに元々ビタミンAだった動物性の食品から摂れたビタミンAと植物性のβカロチンから出来たビタミンAは違うものなのでしょうか?βカロチンの吸収がビタミンAの1/3だと書いている本も、腸管からの吸収は1/6だと書いている本も、もともとビタミンAだったビタミンAは動物性で、植物性のβカロチンよりも同じ動物性同士なので動物性由来のビタミンAのほうが吸収率が良いと説明しています。同じビタミンAでも動物・植物性と分かれるのでしょうか?







実際の生命は、○×テストや三択で出来てはいないのです。



質問者は、様々な用語や前提となる条件を理解しておらず、混乱しているようです。



まず、ビタミンAと呼ばれる物質には何種類かあることを理解しましょう。レチノール、レチナール、レチノイン酸が、ヒト体内では「主に」ビタミンAとしての活性=成長の促進効果をもたらしているのです。動物の血中では、どれもほとんどレチノールになっています。



βカロテン(βカロ“チ”ンではありません)は、小腸のβ-カロテン-15,15'-ジオキシゲナーゼという酵素の作用で、レチナール2分子になります。レチナールはレチノールデヒドロゲナーゼという酵素の作用により多くはレチノール(ずばりヒト血中におけるビタミンAのほとんどがこれ)に還元された状態で存在しています。

レチナール2分子になるのだから、結局レチノール2分子と同じだとすれば、ビタミンAが2分子出来ることと同じでしょう。

質問者の考えるような、1分子しかできないと言うことではありません。ただしこれは、化学反応式上のお話ですね。



しかし、βカロテンは、食品にある量含まれていても、その吸収した半分=2分の1しか結局はレチノールに変換されていません。これは、別にβカロテンを是が非でも変換しなければならない、などと人体が反応していないからです。βカロテンは、脂質の一種ですから、そのまま脂肪組織に蓄積しても何の問題もないのです。



多くの場合、変換効率は食べさせるβカロテンに印を付けておくなどして、一定時間後に血液中のレチノール(狭い意味でのビタミンA)に、その印が付いたものがどれくらいあるか?分析するなどして推定します。○×テストのようにいつもぴったり同じ数値で観測されることはありません。

質問者は、そこら辺りをゴチャゴチャにしてはいませんか?



βカロテンは、腸管からの吸収効率はおおむね10~30%です。これは一緒に食べたものに油が含まれると、効率が上がるなどの幅があるのです。それでもビタミンA(この場合は動物に含まれるレチノールのこと)よりは小腸からの吸収効率が低い、レチノールの6分の1しかない、と言っているのです。

動物の肉などに含まれるレチノールは、80〜90%が消化吸収されます。90%の6分の1は15%(10~30%の概ね中間程度)でしょう。

ここら辺はもう、質問者は混乱しきっていますね。



βカロテンは、動物に含まれるレチノール=ビタミンAよりも6分の1の効率でしか吸収されない(その吸収効率は数値にすると10~30%である)。さらに吸収された2分の1しか、体内でレチノールに変換されない。

だから6分の1の2分の1は12分の1で、結局βカロテンはある量投与されても、それはレチノール=ビタミンAを同じ量(重さ)食べたときの12分の1しかビタミンAを食べたことにならないよ、こういう話です。



βカロテンが、ビタミンA1分子にしかならないとか、腸管から2分の1しか吸収されないよ、という話とは全然違います。また、前提となる何分の1・何%というのも、前提条件は様々ですので、別の本でも同じ数字になるはず、とはいえません。

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